logo

2023年 冬 (71号)

ニュースレター

歴史ハッシュタグ

韓国近現代史を目撃したカメラの記憶

記録映像を通じて見た韓国近現代史

現代史研究と映像資料アーカイブ

20世紀の歴史を特徴づける主要な事実の一つは「映像媒体」が情報を伝達する核心手段として位置づけられたという点である。数多くの映像資料の中で記録映像は歴史研究において重要な基礎資料となっている。記録映像は、主に「ニュースリール(Newsreel)」を意味するが、当時に起きた重要な事件をフィルムに記録しておいた映像を指している。韓国でも「大韓ニュース」や「リバティニュース(Liberty News)」などが上映された。ニュースリールを作る前の編集されていない記録映像は、フッテージ映像(Footage)と呼ばれ、編集されていない生の資料という点で、現代史研究のための重要な記録映像としてその価値が認められている。

当時の多様な姿が盛り込まれている映像資料を収集し、上手に保管して利用しようとする人々に提供できる「アーカイブ作業」もまた非常に重要である。 韓国では国家記録院(National Archives of Korea)、韓国映像資料院(Korean Film Archive)などが映像資料アーカイブに重要な役割を担当している。

<動く現代史: 鮮明な歴史>に収集されている記録映像

大韓民国歴史博物館(National Museum of Korean Contemporary History)は、2023年3月から記録映像アーカイブプラットフォームの<動く現代史:鮮明な歴史>をKBSと共同で構築しサービスを提供している。大韓民国歴史博物館は、KBSが収集した記録映像に関する情報を整理・分類してから、利用者がオンラインで活用できるように提供している。 <動く現代史:鮮明な歴史>のオンラインホームページから1920年代から1970年代までの韓国近現代史の中で重要な事件の記録映像約800本が確認できる。

記録映像を観る際に考えてみるべきこと

生き生きと生きて動く歴史の中の人物と風景を見せる記録映像であるが、撮影者や編集者、または監督の視線で当時の状況を眺めることを強要する媒体であることは注意しなければならない。記録映像を撮影した米陸軍通信隊、フッテージ映像をニュースリールで編集した米国の立場が記録映像に投影されるしかないことを意味するのである。

一方、文字記録では残せなかった数多くの民衆の姿を盛り込んでいるという側面も見逃せない。フッテージ映像のように編集されていない映像には多様な人々の人生が広がっており、これは既存のエリート中心の歴史叙述に亀裂をもたらすことも有り得る。

映像を通じて皆が一緒に作っていく歴史

過去にはカメラとフィルムがとても貴重なものであったが、最近は誰もが簡単に映像を撮影し、それを共有できる世の中である。21世紀を子孫たちが研究するならば、今日撮影した映像がまもなく重要な歴史資料に有り得る。周辺の多様な日常と事件を映像に残すこと自体が歴史を作っていく作業と言えるのではないだろうか?

展示

2023年、大韓民国歴史博物館の展示を振り返る

韓米同行70周年を記念した展示活動

大韓民国歴史博物館にとって2023年のホットイシューは、「2012年開館以後の博物館」、「大統領および国務総理の10年周期博物館来訪」であった。2023年は韓米同盟70周年になるだけに、大統領と国務総理の来訪目的も韓米同盟展示の観覧と韓国戦争行事への参加であった。

韓米同盟70周年初の国内展示として4月24日に開幕した「一緒に行きましょう We Go Together」が注目を集めた。新しい資料を発掘し、既存の資料を新しく解釈して披露した展示だったからである。主な特徴としては、韓米関係の始まりとして141年前に締結された「朝米修好通商条約」を掲げた点、朝米修交後、両国の首都に開設した公使館と初の公使(朴定陽(パク·チョンヤン)とフート(Lucius H. Foote))を国内で初めて展示し、政府樹立以前の朝鮮~大韓帝国期の両国公使目録を公開した点などがある。

2023年韓米同盟関連展示運営課の主な活動

パンデミックから韓米同盟まで注目を集めた特別展

2023年特別展は、パンデミック(<再び、連結:皆が安全になるまで>)、財テク(<大金の夢:財テクで見た韓国現代史>)、韓流(<私たちが愛した[ ]、そして韓流>)をテーマに開催し、韓米同盟特別展は現在進行中である。

パンデミック特別展は、これまで様々な博物館で似たようなテーマの展示が開催されてきたが、大韓民国歴史博物館ならではの長所を生かし、国際比較史的観点から地球生態系的連帯の重要性を知らせた展示であった。財テク特別展は、庶民にとって大金を用意する手段である金融、不動産、証券などを基盤に大儲けを夢見た行為がマクロ経済の側面で国家経済の土台になったことを強調した展示であった。国民的な関心テーマを扱ったパンデミック・財テク・韓流特別展以後に開催された韓米同盟特別展<同行>は韓米同盟の総合版的な展示であったが、韓流も韓米同盟と直接的な関連がある。アメリカ中心のポップソング、映画などと在韓米軍のクラブ文化が韓流に大きな影響を及ぼしたからである。

常設展示の改編とその他の活動

2023年には常設展示室の労働者と企業の海外進出、経済開発、ベトナム参戦、教育熱と教養の拡張、半導体などの一部コーナーを改編した。

そして3年続けて周辺の博物館と連合してスタンプツアーイベントを推進した。世界博物館の日を記念して光化門近くの5つの国公立博物館と共に約1ヶ月間スタンプツアーを行い、大韓民国歴史博物館は<大金の夢:財テクで見た韓国現代史>として参加した。

2024年4月には文化の疎外地である地方のための共生巡回展のモデル事業として石炭博物館を運営している3つの基礎自治体と共に思い出のエネルギー源である「石炭」共同企画展を開催する予定である。

2024年、大韓民国歴史博物館は、企画展示室とテーマ館の2つの展示室で計5つの特別展を開催する。2月末の「韓イタリア国交正常化140年記念写真展」を皮切りに、4月の「石炭特別展」、6月の「国連参戦特別展」、9月の「私の現代史宝物特別展」、10月の「安重根義士特別展」を順に開催する。また、2023年に成功裏に開催された「韓流と大衆文化特別展」を2つの地域で巡回展示する予定である

異なる視点から見る韓国の歴史

体験しながら学ぶ韓国現代史授業

常設展示体験館

大韓民国歴史博物館4階に位置する常設展示体験館は、観覧客が今の自分とは違う世代、他の誰かとしてその時代を体験できる空間である。外国人は、韓国の現代史がそのまま盛り込まれた体験館をどう眺めるだろうか? 英国人のポール・カーバー(Paul Carver)氏の文章を通じて、その考えを垣間見ることができる。

異なる世代の人物となり、異なる視点で歴史を眺めてみる経験

「世代疎通」をテーマに韓国現代史の中の色々な世代の「あの時、あの頃」を具現した体験館展示は、韓国史についての知識が足りなかった私にとって非常に有益な経験になった。エスカレーターに乗って4階に到着すると見える展示館は、計16の区域に区分されているが、これは1950年を皮切りに、それぞれの時期の多様な日常生活の様子をテーマ別に見せるためである。

体験館に入ると、案内デスクに備え付けられている機械のボタンを押してIDカードを発行してもらう。このカードを通じて、異なる時代に生まれた10のキャラクターのうち1つが与えられる。私がもらったカードは1968年であった。

セクション「時代のスローガン」には時代別に市民に奨励するスローガンが並べられている。70年前も今も共産党スパイを警戒せよという内容は同じであるが、家族計画に対するメッセージは今とは正反対である。

セクション「昨日の食卓」では、時代や状況に応じて好んで食べた食べ物をデジタルパズルという形式で代入して当てるゲームを提供している。韓国戦争直後に食べた安いが素朴で美味しい食べ物、雨の日に食べるマッコリとねぎチヂミ、特別な日にはトンカツなど、韓国人が時代別、状況別に好んで食べた食べ物を学ぶことができる。

セクション「健康が最高」では、前の時代から行われた公衆保健キャンペーンを紹介しているが、その中で一番興味深かったのは採便封筒である。映画<クラシック>で採便袋に関連した場面が出てくるが、この展示で体験してみなかったら採便袋に込められている社会的・文化的背景を絶対に理解できなかっただろう。

最後に私の想像力を捉えたセクションは「緊急通話」であった。 スマートフォンにだけ慣れているほとんどの訪問客には不思議に思える旧式のダイヤル電話機で電話番号を回す体験ができた。

体験を通じて韓国現代史を理解したいなら

イギリスではこのようなデジタル方式の体験型展示館は珍しい。それでも第2次世界大戦当時、イギリスが体験できるエデンキャンプ現代史博物館(Eden Camp Modern History Museum)と鉱山村と炭鉱、イギリス農場、1950年代イギリス村の姿を再現したビーミッシュ北東生活博物館(Beamish Museum)などがあり、大韓民国歴史博物館の体験館と最も類似したブラックカントリー生活博物館(Black Country Living Museum)もある。

祖父母がどんな生活を送っていたかが知りたい人や、自分の昔の思い出を再召喚したい人、あるいは韓国現代史の理解を高めたい人がいるなら、体験館の観覧を積極的にお勧めする。

博物館の話

韓流と大衆文化特別展、地域交流展示の開催

大韓民国歴史博物館は、聞慶(ムンキョン)石炭博物館と協力して<私たちが愛した[ ]、そして韓流>特別展示を11月4日から2024年1月15日まで聞慶エコワールドで開催する。世界的に人気を博している韓流と大衆文化を扱ったこの特別展は、大韓民国歴史博物館で7月19日から9月3日まで盛況裏に開催された。聞慶エコワールドの入場客は無料で展示を観覧できる。大韓民国歴史博物館は、2024年にも韓流展を地域共生巡回展として地域機関と共同企画し年2回開催する予定である。

近現代史協力ネットワーク11機関ワークショップの開催

大韓民国歴史博物館は、地域近現代史博物館と協業し、博物館相互の力量を強化するために博物館学芸事業を支援した。事業は、展示、出版、保存処理、教育、観覧環境改善など多様な分野で構成された。代表的な事業として捕虜収容所遺跡博物館のアーカイブ展示<この話が私の最後の任務です>、大邱近代歴史館の学術資料集『大邱近代を盛り込む』発刊、シャルトル聖パウロ修道女会歴史博物館の『シャルトル聖パウロ修道女会所蔵カトリック典礼服保存処理』などがある。大韓民国歴史博物館は4月に選定された機関を対象に12月8日に結果報告ワークショップを行った。現在、近現代史協力ネットワークには134の機関が加入している。

National Museum of Korean Contemporary History Newsletter 2023年 冬 (71号)
/ ISSN 2733-7138
198 Sejong-daero, Jongro-gu, Seoul, 03141, Republic of Korea / 82-2-3703-9200 / www.much.go.kr
Editor: Lee SeungJae, Ahn SeongIn, Kim YangJeong, Shin JungSoo
/ Design: plus81studios

Copyright. National Museum of Korean Contemporary History all rights reserved.