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2023年 夏 (69号)

ニュースレター

展示

条約から見る70年韓米同行の歴史

韓米同盟70周年特別展 <一緒に行こう We Go Together>

さる4月24日から開催された<一緒に行こう We Go Together>は韓米同盟70周年を迎えて、時期別に締結された主要な韓米同盟関連条約を振り返るために企画された展示である。展示場の年表に沿って観覧すれば、重要事件の年度と当時現場を収めた写真を結び付けることができ、韓米交流をより簡単に捉えることができるようになった。

韓米同盟はどのように強固になったのか

本展示は韓米同盟のはじまりといえる、1882年5月22日に締結された朝米守護通商条約から始まる。最初の太極旗図案を入れた海洋国家の旗や、条約締結当時朝鮮の全権大使であった申櫶(シン・ホン)が残した『美國通商實記』が展示資料とともに紹介されている。朝米守護通商条約の第1条では「居中調整(Good Offices)」が明示されているが、同盟国が外侵を受ければ支援すべき、と規定した条項である。これは、1953年韓米相互防衛条約の第1, 2条「相手国が武力攻撃を受けたとき共同対処」条項につながる。

「韓米相互防衛条約」仮調印式の場面 ⓒ国立民俗博物館

展示室で全文を見ることができる韓米相互防衛条約は、韓国とアメリカが相手同盟国の防衛のために締結した条約である。1953年8月8日韓国景武臺で韓国外務長官卞栄泰(ピョン・ヨンテ)とアメリカ国務長官ダレス(John Foster Dulles)が仮調印し、続く10月1日アメリカのワシントンDCで条約を締結した。今回の特別展では当時の現場を収めた写真遺物が展示されていて、韓米同盟の現場に会うことができる。

1954年11月17日に締結された経済及び軍事援助に関する韓米間の合意議事録と共に、アメリカの経済援助は多方面に渡って行われた。アメリカの経済援助が学校建設、漢江第3鉄橋の開通など1960年代韓国経済が跳躍する足場になったことを展示室で確認できる。

安保を越えて、政治 〮経済 〮文化までに拡大した交流

アメリカの経済援助ポスター ⓒ大韓民国歴史博物館

1966年から1981年まで韓国で活動したアメリカ平和奉仕団の話も紹介する。平和奉仕団の一員だったキャサリン・スティーブンズ(Kathleen Stephens)前駐韓アメリカ大使の当時記憶をもりこんだインタビュー映像と著書、大韓民国歴史博物館が発刊した米平和奉仕団の口述資料集に会うことができる。

1948年に大韓民国政府が樹立されてから結ばれた条約は、韓米間の公式的な相互条約の数だけでも261に達する。その範囲は経済援助、教育、科学技術、文化など多方面に渡っている。現在は安保協力を越えて、政治・経済・文化・人的交流分野へ拡大している韓米同盟の歴史を顧みる今回の展示が、韓米間の未来指向的かつ発展的関係を描くきっかけになることを期待する。

現在のキーワード

バターとアメリカンパイ、音楽でコミュニケーションする韓米両国

キム・シスターズからNewJeansまで

韓米の大衆音楽交流のはじまりは、1953年7月の停戦協定まで遡る。駐韓米軍のために設けられた「米8軍ショー」に参加した韓国音楽家は、少しずつジャズ、ロックンロールなど、アメリカ人気大衆音楽の文法に慣れていた。このショーで注目された3人組ガールグループのキム・シスターズが1959年アメリカのラスベガス舞台に進出した。

以後韓国大衆音楽が本格的に紹介されはじめたのは40年が過ぎてからであった。2001年キム・ボムスがヒット曲「一日」を英語でリメイクしてビルボードの部門別チャートに進入した。また、2009年「アジアの星」のボアがビルボードメインアルバムチャートの「ビルボード200」で127位に、同年10月ワンダーガールズが「ホット100」で76位に進入した。

1990年代以後の韓流関連展示資料が見られる5階の歴史館

それ以降、2012年PSYの「江南スタイル」がホット100で7週連続2位になりシンドロームを巻き起こした。当時新しいプラットホームであったYouTubeを媒介とした人々の噂の結果であった。以後BTSが登場することで、アメリカ国内のK-POPの歴史は改めて刻まれていった。BTSは2015年にビルボード200で171位に初進入してから、同チャートで6本のアルバムがそれぞれ頂上に上り、ホット100では「ダイナマイト」をはじめ総7曲が1位になった。

BTSが起爆剤になって、ビルボードチャートの扉は、K-POPに向けて開かれた。2023年6月基準ビルボード200チャートで1位を占めたK-POPチームは、SuperM、Stray Kids、BLACKPINK、TOMORROW X TOGETHERまでの合計5チームである。ホット100の1位に上ったK-POPグループは、BTSが唯一であるが、別途にプロモーションを行わなかったNewJeans、中小企画社所属のFIFTY FIFTYなどがホット100に進入する成果を収めた。

K-POPとアメリカ現地レイブルとの提携

韓国の芸能企画社は、K-POPを越えてアメリカ大衆音楽市場の主流へと、進入を夢見ている。

現在の韓米大衆音楽の交流において最も話題になっているのはK-POPの大型企画社と現地有力レイブルが合作して披露するガールグループである。JYPエンターテイメントは、アメリカのガールグループ育成プロジェクト「A2K」でリパブリックレコードと戦略的提携を結んでいる。Hybeもやはりアメリカのユニバーサルミュージックグループと共にガールグルブを準備中である。SMエンターテイメントを引き受けたカカオエンターテイメントもやはり、コロンビアレコードとパートナーシップを結んで現地進出を本格化している。

一方、パフォーマンス中心のK-POPと雰囲気の違う他の韓国インディ音楽も、ニューヨーク韓国文化院とリンカーンセンターを主軸に現地でよく紹介されている。

我が歴史の見慣れないビュー

韓国人はどのように大金を集めたのだろうか?

大金の夢:財テクから見た韓国現代史

韓国の面白い財テク方法

特別展<大金の夢:財テクから見た韓国現代史>展示館の入口

展示を見て回ってみて、最初に目に入ったのはいろんな形の金庫である。現代のような金融システムが整備される前には、韓国も英国と同様にお金を家に「貯蔵」しなければならなかった。未来に使う大金を作るために、金庫に現金を貯蔵するやや原始的方法の他に、株投資もやはり両国ともに慣れている方法である。

けれども、「契」という会合は、英国では絶対にあるえない韓国だけの固有の投資方法である。英国では友人または親戚でも絶対にお金を貸してはいけないという鉄則がある。もちろん、韓国でも契という会合が割れて詐欺に合うことがあるとはいえ、英国社会では誰かに大金を預けた後に受け取る順番になるとその金はすでに風と共に消えていた確率が高い。それに比べて、韓国の個々人はもう少し厚い信頼をもとに契を通して富を蓄積することが可能であった。

韓国にだけ存在する財テク方法がもう一つあり、「伝貰(チョンセ)」という概念である。契と同じく伝貰も大きな大金を後で返してもらえるかも知らない「賃貸人という他人」を信じて任せる方式である。それゆえに英国では絶対にあり得ないシステムである。賃借人の立場では、月貰を出さなくても家を長期間利用可能であり、賃貸人は、賃借人に伝貰金を受けて少ないお金で家の購買が可能である。家の値段が上昇すれば後日より大きい金額で売ることができるため、両者にとって財テクの手段に成りえる。

貯蓄と支出の均衡は、韓国も英国も難しい

英国は、韓国よりはマイホームの購入が比較的容易である。家の値段の10~15%を支払って銀行から借り入れ、20~30年間で返済する方式で家を所有することができる。この方法は韓国とは大きく違わないが、韓国は英国よりも家の値段がとびきり高く、家の値段の10%も用意できない若者が多い。

韓国にはないが、英国にのみ存在する財テク手段としては、「プレミアム債券」がある。英国のプレミアム債券は、利子を宝くじ当せん金のように少数にまとめてあげる独特な方式の国債である。それにより、一部の人は百万ポンドを利子として受けとるが、大多数は十ポンド程度を利子として貰っている。韓国で1歳になった赤ちゃんに1才のお祝い指輪または金塊を贈るように、英国では祖父母が孫たちにプレミアム債券をプレゼントする。

(左側から時計回り)株コーナーの各種証券と取り引き状況表、貯蓄コーナーと私の貯蓄日誌の出力物、保険証券コーナー(教育保険証券、職場保険証券など)

展示で最後に注目した点は、韓国政府が貯蓄を推奨するキャンペーンに長く取り組んだという点である。個人の貯蓄が、今の韓国を経済強国に発展させる過程で大きく役立ったことが推察できた。もちろん、貯蓄基調の産業発展がいつも作動しているのではなく、あるときは消費を貯蓄より推奨する状況が起こったこともある。このように、国家が経済状況によって緊縮あるいは拡張の財政政策を用いるように、個人も不安な未来に備えてまとまった金額づくりと現在の幸福のための支出の間で均衡を維持する必要があるのではないだろうか。

博物館レビュー

常設展示歴史館の遺物をもりこんだ点字図録の初発刊

大韓民国歴史博物館が、常設展示室5階歴史館に関する点字図録を初めて発刊した。点字図録は、大型サイズの本として作ることにより可読性を高め、視覚障害者とその一行が一緒に見られるように点訳と韓国語説明文を併記した。また、代表的遺物の材質と形を触覚で感じとれるように製作した。点字図録は、博物館ヌリジブ(ホームページ)から「電子点字図書ファイル」をダウンロードしてから「点字情報端末機」を通して利用できる。大韓民国歴史博物館は、音声案内機、点字リーフレットや点字図録製作に続き、これからも障害者の観覧便宜のための「バリアーフリー」サービスを拡大する予定である。

大韓民国歴史博物館 ハンス 第5代館長の就任

さる6月16日ハンス前国立公州博物館長が大韓民国歴史博物館の第5代館長に就任した。ハンス館長(左)は、成均館大学校及び同大学院で考古学を専攻してから、国立晋州博物館の学芸員、国立中央博物館の未来戦略担当官、国立公州博物館長を勤めた。

一方、第4代南希叔(ナムヒスク)館長は、常設展示室とテーマ館の改編、メタバース博物館及び常設寄贈館の開館、記憶と遺産資料センター建設の推進など、多くの成果を残し5月4日に退任した。(右)

博物館プレビュー

特別展<我らが愛した(      )、そして韓流>7月18日開幕式

韓流と大衆文化を照明する特別展<我らが愛した(      )、そして韓流>(2023.7.19.~9.3.)が7月18日開幕式を行う。今回の特別展は、「韓流がどこから来たのか? 」という質問から始まり、現代韓国の大衆文化が韓流に至るまでの過程とその意味を示す予定である。

特別展を通して、韓流が世界人と呼吸し合いながらグローバルな現象へ進化する過程を見守り、韓流発展の核心が多様な文化に対する包容性にあることを考えてみたい。

National Museum of Korean Contemporary History Newsletter 2023年 夏 (69号)
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Editor: Lee SeungJae, Ahn SeongIn, Tak MinJung, Shin JungSoo
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