2023年 1月-3月 (67号)

新たな世界、新たな博物館

大韓民国歴史博物館メタバース

いつからか、メタバースという言葉が国際社会において注目を浴びるようになった。近年、5Gの一般化及びパンデミックが招いたオンラインの流れにのり、博物館でもメタバース展示を導入している。大韓民国歴史博物館も12月にNAVER ZEPETOプラットフォームにメタバース博物館を構築し、その扉を開けた。メタバースが大韓民国歴史博物館にどのような変化をもたらすか、今回の記事を通じてふれてみる。

「メタバース」とは、仮想、超越を意味する「メタ」と、宇宙、世界を意味する「ユニバース」を組み合わせた造語だ。メタバースは、社会、経済、教育、文化、科学など現実世界の相互作用を仮想空間にて3次元で具現化したプラットフォームである。文字と画像から作られた既存のオンライン世界とは異なり、メタバースは、3次元仮想空間における仮想の自我であるアバターを通して、経済・社会・文化的活動が可能だ。メタバースは、コロナによる日常のオンライン化現象と相まってその活用がより拡大された。今後もその領域は拡張されるものと思われる。

新たな世界へ向けた挑戦

大韓民国歴史博物館では、全世界の利用者数が2億人というZEPETOに、博物館の存在を広める「テーマワールド」を企画・開発した。このテーマワールドのマップには、光化門一帯の大韓民国歴史博物館・世宗文化会館・政府ソウル庁舎などの建物と李舜臣銅像、世宗大王銅像、博物館内の遺物などが主要要素として存在する。

利用者は、アイテムミッションと3種類のポーズを取るミッションなどのQuestを遂行することができる。また、博物館内に隠されたダイヤモンドを獲得して光化門ヘテ像を起こし、自分のペットにすることができる。加えて、世宗大王銅像の前でハングル子音「ㄱ」、「ㄴ」、「ㄷ」のポーズ、、李舜臣銅像の前でポーズ、教保文庫前の廉想涉銅像ベンチでポーズを取るといったミッションをこなすとファッションアイテムが購入できるリワードが与えられる。

メイン空間をデザインする際、利用者が光化門一帯と博物館の建物が持つ歴史性と空間感をリアルに感じられるよう実際の姿を最大限真似て表現した。また、重要な建築物と主要スポットごとに案内文を設置し、多様な情報を提供する。メタバースを活用すると、大韓民国歴史博物館と光化門近隣空間を実際に探訪しているような教育的効果を得ることも可能だ。

メタバースは新たな世界だ。新たな世界、新たな博物館に向かって大韓民国歴史博物館の挑戦はここから始まる。

2023年展示プレビュー

常設展示から金融・韓流特別展まで

1階ロビー: 小規模の展示

会期中の展示
~2023年2月23日 : 開館10周年記念展示 「大韓民国歴史博物館、始まりを記憶する」
開館10周年を記念し、博物館建立発布から開館までを振り返る。

展示予定
2月~(予定): 「半島新聞」、7月~(予定): 「停戦協定」、8月~(予定): 「朝鮮建築」、10月~(予定): 「韓美同盟」

3階常設展示テーマ館

テーマ館1 <ベストセラーから読みとる時代の自画像>: 光復以降のベストセラーを通じて当時の人々の考えや感情に注目してみる。

テーマ館2 <広告、世の中に向けた告白&lgt;: 広告に使われた言葉と画像を通じて、消費者、商品、時代が交差するポイントから、人々が熱望した価値にふれる。

3階 企画展示室: 特別展

会期中の展示
~2023年1月31日 : パンデミック特別展 <再び、つなぐ: みんなが安全になるまで>
パンデミック時代を生きる私たちに必要なものは何か、すべきことは何なのか考えるきっかけを提供する。

展示予定
3月3日~6月25日(予定) : 金融特別展 <大金の夢> (仮タイトル)
韓国経済成長の動因と言える個人と家計を、「金融」という流れの中から見つけることを試みる特別展だ。

7月21日~10月29日(予定) : 韓流特別展 <韓流以前にOO流があった> (仮タイトル)
韓流の主要成長背景を、現代史の中のアメリカ、香港、日本などの海外大衆文化との活発な交流から見る。

4階常設展示体験館

2021年3月にオープンした体験館は、ゲームを楽しむかのように韓国現代史が体験できるユニークな常設展示空間だ。

5階常設展示歴史館

大韓民国歴史博物館を代表する常設展示。「民」が主人であることを自覚し、近代国家を作るために模索した1894年から近年までの韓国の近現代史に出会う。

2020年6月1日リニューアルオープンした歴史館では、2022年7月、「6.25戦争」(朝鮮戦争)コーナーをリニューアルし、戦争の真実を均衡を保ちながら伝えている。12月には「光復と大韓民国政府樹立」コーナーをリニューアルし、大韓民国政府樹立の力強い一歩を強調した。

招待席

博物館文化公演、お好みに合わせてお楽しみください!
「チェ・サンオ交流広報課学芸研究官」

2022年大韓民国歴史博物館の文化公演は、開館10周年にふさわしく豪華な演目の連続と言える。5月には 「風流大将」 優勝バンドのsEODo BANDが野外歴史マダン(広場)で公演を行い、10月にはミュージカル俳優のチョン・ソンアが3階野外テラスにて美しい歌声を響かせた。9月には一般市民が参加する「今は光化門歌手時代」が開催され、開館10周年に花を添えた。このような博物館文化公演業務を担当しているチェ・サンオ学芸研究官に詳しい話を聞いてみる。

博物館のアイデンティティと
認知度の両方を押さえる文化公演

Q. 大韓民国歴史博物館の文化公演は、通常どのような目的で開催されますか?

大韓民国歴史博物館の文化公演には、大きくふたつの目的があります。まず、ひとつは、近現代史博物館としてのアイデンティティを確立すること、もうひとつは、博物館の認知度を向上させることです。

歴史記念日公演は、私たちの近現代史において重要な事件などを振り返るという意味合いが強いだけに、博物館のアイデンティティを確立する目的が大きいです。こどもの日のような一般的な記念日公演は、博物館の認知度を上げることに目的があります。半面、定期文化公演はふたつの目的を両方持ち合わせていると言えるでしょう。アイデンティティの確立に寄与すると同時に、認知度の向上のために有名なミュージシャンを公演者として招いています。

Q. 展示テーマと関連した博物館のイベントがたくさん開催されています。人口特別展の際も、関連学術大会が開かれましたね。

文化公演は、学術大会のように展示テーマと直接的な関連性を持たせるのが難しいです。代わりに、間接的に関連性があると感じられるようなテーマを選んで公演を企画します。例えば、2021年の公演「クラシック音楽で伝える家族の物語」と「ハリムとBLUE CAMELアンサンブルのディアスポラ物語」は、人口特別展「人、数字: 人口で見る韓国現代史」と関連して開催された公演でした。人口というテーマには、出産と家族計画、移住問題などがすべて含まれていますから。

昨年10月15日3階野外テラスにて突出した実力を披露したミュージカル俳優チョン・ソンア Ⓒ 大韓民国歴史博物館

オフラインとオンラインを行き来する市民と共に

Q. 2020年パンデミックが宣布され、一時は対面公演ができませんでした。代わりにオンライン公演が開催されましたが、反応はどうでしたか?

博物館が閉館されていた時期は、文化公演も延期されていましたが、その年の5~6月からは、事前録画、オンライン配信に転換していきました。最近は、対面での公演とオンラインでのライブ公演と同時に行っています。博物館のYouTubeチャンネルにて配信するので、博物館の認知度の向上にもつながっていると思います。

文化公演は、量より質

Q. 2023年文化公演は、どうなりますか?

2023年大韓民国歴史博物館文化公演は、「量より質」を追及します。全8回の公演と、回数を減らした分、博物館のアイデンティティを示し、社会の流れと共に変化する質の高い公演を準備しています。例えば、障がい者の日に行われる障がいを持つアーティストらによる公演や、厳しい経済状況における青年世代を応援するための競演大会などがそうです。大韓民国歴史博物館の展示がそうであるように、文化公演でも社会的な問題に対するメッセージを取り入れました。

歴史の中の今日

ウリビョルからタヌリまで、韓国人工衛星開発の歴史

(左から) 1992年打ち上げられたウリビョル1号、1995年ムグンファ1号、1999年アリラン1号、2003年科学技術衛星1号、2010年千里眼(チョンリアン)1号、2013年羅老(ナロ)科学衛星Ⓒ 聯合ニュース

世界の目は、すでに地球を越え、宇宙へと向かっている。人工衛星をはじめとする宇宙開発競争は、避けることのできない現実となり、国家レベルではもちろん、国際企業にも影響を及ぼしている。韓国人工衛星開発の歴史を振り返ってみる。

宇宙競争の序幕

人工衛星は、科学、通信、軍事、気象など様々な分野で活用されている。1957年10月4日、旧ソ連のスプートニク1号の人類初の人工衛星打ち上げ以降、冷戦時代と連動してアメリカと旧ソ連を中心とした熾烈な宇宙競争が始まった。2021年までに世界で打ち上げられた人工衛星の数だけでもおよそ1万基に達する。韓国では2022年までに約20基が打ち上げられた。

ウリビョル、ムグンファ、
アリランなど韓国の人工衛星の登場

韓国は、1987年12月4日「航空宇宙産業開発促進法」(法律3991号)を制定し、人工衛星開発の一歩を踏み出した。航空宇宙産業を支援し、国民経済を向上させ、宇宙競争でも後れをとらない意志を表明している。

1989年、韓国科学技術院に人工衛星研究所が設立された。その後、本格的な研究開発が開始され、1992年8月11日に南アメリカのギアナ宇宙センターで大韓民国初の人工衛星「ウリビョル」の打ち上げに成功する。ウリビョル1号は、地球の表面撮影、音声資料と画像情報の交信などの実験を遂行した。

1993年9月26日には、ウリビョル2号が国内初の打ち上げに成功する。以降、1995年8月5日、通信衛星ムグンファ1号、1995年5月26日には、韓国初の固有モデル人工衛星ウリビョル3号、同年に多目的実用衛星アリラン1号、2006年にはアリラン2号、ムグンファ5号などが次々と打ち上げられている。

宇宙に向かう夢は現実となり

全南高興郡外羅老島に位置する羅老宇宙センター Ⓒ 聯合ニュース

2009年には、世界で13番目の宇宙センター「羅老宇宙センター」を全南高興に竣工した。大韓民国初の低軌道実用衛星発射用ロケット・ヌリ号は、2022年、2次打ち上げの際、目標起動進入に成功する。2022年8月には、韓国初の月の軌道探査船・タヌリ号が打ち上げられた。韓国は、タヌリ号の成功的な打ち上げにより、世界で7番目の月探査国となる。

科学技術情報通信部では、韓国人工衛星拡大及び通信技術開発のため、2024年から8年間、5,700億ウォン規模の開発事業を計画中だ。11月28日に発表された「未来宇宙経済ロードマップ」には、宇宙航空庁設立から火星探査まで、韓国宇宙産業の今後の道のりが示されている。

National Museum of Korean Contemporary History Newsletter 2023年 1月-3月 (67号)
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