2022年 01, 02月 (62號)

展示の中へ

常設展示テーマ館II<広告、世界への告白>が開館

今年1月、大韓民国歴史博物館3階にテーマ館がオープンした。テーマ館では、歴史館で本格的に取り上げることのできなかった近現代史の様々なテーマを選定し、詳しく紹介している。2022年は「ベストセラー」と「広告」の2つのテーマによる展示を行う。その第1弾として、1月に<ベストセラーで読む時代の自画像>展が始まり、現在も開催中だ。各時代におけるベストセラーを紹介し、当時の人々の考えや情緒、大衆の知的な志向、率直な欲望などが垣間見られるよう構成されている。また、実際の書籍や移動式の透明ディスプレーを設置して来館者がよりリアルに感じ、興味深く鑑賞できるよう工夫されているのも特徴的だ。

  • Promotional Film of the 10th Anniversary

2022年3月には、テーマ館IIにて<広告、世界への告白>展が開催される。タイトルの「告白」という言葉は、1886年に『漢城周報』(注:『漢城周報』は1886年1月から1888年7月頃まで発行されていた新聞で、1883年に創刊された『漢城旬報』と並んで朝鮮政府が発行した初の近代新聞)に掲載された朝鮮初の商業広告に由来するもの。欧米の企業が、朝鮮に店を出して輸入品を販売する際に、「広告」に代わって「告白」という言葉を使ったことに着目した。この展示は、近現代史の各時代における主な広告を、メディアアートを通じて観覧することができる実感型映像展示になっている。

全4部構成で、第1部では、開花期から1990年代後半までの各時代の代表的な広告を鑑賞しながら何が消費されていたのかを辿る。第2部は、食品広告を通じた韓国近現代史の食生活の紹介だ。時代を5つの区分に分け、海外食品の流入、混粉食奨励、外食など近現代史の中で激動する食品広告の流れを知ることができるよう構成されている。

第3部では、韓国初の国産化粧品広告や韓国近現代史の中のファッション広告に重点を置いた。洋服や化粧品広告に登場する当時理想とされた人物像から、各時代に広がった美の認識や意味を考える。第4部では、私たちの日常を大きく変えた電子製品の広告を素材にした一種の仮想空間が体験できる。技術の発展をメディアアートで再現し、新鮮な楽しさを届ける。大衆の消費文化を反映する広告の歴史を実感型コンテンツとして提供する今回の展示を通じて、来館者に韓国近現代史の物語を楽しく身近なものとして理解してもらうのが狙いだ。

寄贈館<仕事によって明日を夢見る>が開館

2022年1月25日、大韓民国歴史博物館は寄贈館を新たにオープンした。この展示館は、大韓民国の近現代史を生きた人々の大切な資料を来館者に紹介し、より多くの人々の寄贈につなげることを目的としている。今回の展示では、1960~80年代の「仕事と職業」をテーマに、その時代を誠実に生きた人々の様々な物語がつまった資料を観覧することができる。2010年から2021年の間に400人以上の寄贈者から受けた7万点を超える資料の中から約30人203点の資料を選定し、構成した。

歴史の中の今日

国民はまさに権力
- 3.15不正選挙と4.19革命

韓国は1948年8月15日に政府を樹立し、民主主義憲法と制度を整えたが、民主主義がしっかりと定着するまでにはその後もかなりの時間を要した。その過程で発生した1960年3月15日の大統領・副大統領の不正選挙は、韓国の民主主義の暗い歴史とも言える。暴力団まで動員された不正選挙は、全国民を憤らせ、それは4.19革命につながった。時計の針を戻して、その日の出来事を振り返ってみたい。

李承晩(イ・スンマン)は1948年7月、間接選挙として行われた初代大統領選挙で当選し、その後も数回にわたる憲法改正により第2代、第3代大統領を務める。1960年に行われた第4代大統領と第5代副大統領選挙においても、李承晩は自由党の公認大統領候補となり、副大統領候補の李起鵬(イ・ギブン)と共に選挙に臨んだ。当時、大統領選は自由党が優勢だったが、問題は副大統領選挙だった。李承晩が86歳という高齢だったため、身辺に異変が生じた場合に備える必要があったのだ。大統領が死亡した際、副大統領が大統領の権限を受け継ぐことになる。そのため、自由党の候補が副大統領に当選すれば李承晩の死後にも自由党は与党の地位を維持できるのだ。そこで、李承晩政権は自由党とともに不正選挙を企画し、その準備に入る。

彼らは、3人組または5人組公開投票、軍・警の活用、「政治暴力団」と呼ばれたイ・ジョンジェ、ユ・ジグァンなどを動員して選挙妨害や強要などを行った。国家権力を総動員して大々的に行われた3.15不正選挙の得票率はあり得ないようなものだった。開票が始まると自由党の得票率が95~99%に上る地域が出てきたため、これに慌てた自由党は、得票数を修正するよう指示する。結局、最終集計では李承晩が88.7%、李起鵬が79%を得票したと発表された。

選挙の結果に市民は激しく憤り、選挙当日、馬山(マサン)で不正選挙を糾弾するデモが起きる。この時、デモに参加した高校生の金朱烈(キム・ジュヨル)が行方不明になり、27日後に馬山の沖合にて遺体で発見された。これが世に知られ、4.19革命の導火線となる。政府は戒厳令を宣布し、デモ隊を阻止しようとしたが、学生や教授、市民たちによる大規模な集会は続き、結局、李承晩は4月26日に辞任を発表し、自ら大統領職から退いた。

市民たちが3.15不正選挙を糾弾
しながらソウル太平路を行進する様子
©大韓民国歴史博物館

4.19革命後も、数々の試行錯誤を経て、大韓民国の民主主義は成長する。そして、その成長の中心には常に国民がいた。大韓民国憲法第1条第2項「大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国民から出てくる」は、1948年に制定された最初の憲法から存在してきた。私たちはずっと前から国民がまさに権力であることをよく知っていたのである。

新展示会と今後の展示会

『独立新聞』の原本5号分を展示
(2022年2月28日~3月29日)

1919年から1926年まで大韓民国上海臨時政府が発行した『独立新聞』のうち、5つの号の原本が、大韓民国歴史博物館に所蔵されている。これらの大切な資料を来館者と共有する展示が2月28日から3月29日まで博物館1階ロビーで開催されることになった。今回の展示では、上海版『独立新聞』の原本に加え、一般の人にもわかりやすいように現代語の解説が提供される。来館者にとって、激しく繰り広げられた抗日独立運動について深く知るきっかけになると期待される。また、新聞と同じ形のパンフレットを制作し、独立運動に関する主な記事の原本と現代語の解釈を載せ、来館者が記念品として持ち帰れるようにした。

義兵出身の抗日英雄蔡燦(チェ・チャン)
(白狂雲(ペク・グァンウン))
将軍の写真や略歴を紹介する記事
(『独立新聞』第177号(1924.10.4.))

韓国・ベトナム国交樹立30周年記念報道写真展
(2022年3月25日~5月9日)

韓国・ベトナム国交樹立30周年を記念し、大韓民国歴史博物館で報道写真展が開かれる。今回の展示は聯合ニュースと国営ベトナム通信社(VNA)の共同開催によるもので、文化体育観光部、外交部、在韓ベトナム大使館が後援する。博物館3階のテラスなどに聯合ニュースとVNAによる報道写真80~100点余りが展示され、メタバース構築プラットフォームを用いたオンライン展示も開催される。また、グラフィックなどの視覚資料や韓国とベトナムをそれぞれ象徴する代表的な展示品も公開される予定だ。

文化公演レビュー

三・一節記念クラシックコンサート(3月1日)

1919年、韓民族最大の抗日運動である三・一独立運動が起きた。この歴史的な日を記憶するため、韓国では3月1日を祝日に指定して称えている。2022年、三・一節から103周年を迎えるのを記念し、大韓民国歴史博物館では9曲の歌曲のクラシック公演を行った。歌曲は韓国人の魂と希望が込められた詩が歌詞になっている。歌曲を通じて韓国の歴史を振り返り、希望に満ちた未来を願う。

  • Muse Salon - 1
  • Muse Salon - 2

National Meseum of Korean Contemporary History Newsletter Jan - Feb 2022 (Vol. 62) / ISSN 2733-7138
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